結論から先に話すのはもはや常識。どんな話かを理解してもらったり、興味を持ってもらうには必須ですね。間違ってますか?
結論から言うと、間違いではありません。
ただし、何でもかんでも「結論を先に話す」ことが常に正しい事とは限りません。
なぜ結論を後出しすることも良いとされるのかか、ここでは解説します。
結論を後出しにする話し方で相手の期待を膨らませる
話す内容によっては、相手に「わくわくさせる」「期待させる」といった要素を盛り込みたい場合があるでしょう。
例えば、
- 体験談
- 漫才などの笑いを誘う話
- 怪談
上記の通り。
上記3つは、以下のような特徴があります。
体験談
体験談を語る際に、いきなり結論を話してしまうのは実はナンセンスです。
話し手が最初から話のオチまで、どのような経験を歩んできたか、段階を追って話すことが望ましいでしょう。
クライマックス(結論・オチ)に向けて、話の導入時から興味を積み上げていく事が心を掴むことに繋がります。
体験談とはすなわち聞き手に追体験させることです。大事なところが歯抜けのようになると、急に聞く意欲がなくなる人もいるでしょう。
話し手の体験を100%伝えるには、ドラマや映画ように導入→結論の順番を守り、起承転結に準じて話すべきでしょう。
つまりは、結論に至るまでの過程で結論の予測を匂わせつつ、話を進めるということです。
高度ですが、試す価値はあるのではないでしょうか。
漫才などの面白い話や怪談
話の結論やオチだけをいきなり聴いてしまっても、面白い・怖いと思います。
しかし、どのような過程を経てそこに至ったのかをあらかじめ伝えていたら、聞き手が感じる印象は大きく変わっていたかもしれません。
ビジュアライズとの親和性
以前このブログでは「話し方のテクニック」として【ビジュアライズ】を紹介しました。
感動を呼ぶ究極の話し方・ビジュアライズ【脳内劇場で心を動かす】
話し方のテクニックとして、ビジュアライズ(visualize:視覚化する)というものがあります。話の内容を具体的に想像させ、感情を、心を動かす方法で、極めれば最強のテクニックとなり得るポテンシャルを持っています。人というのは心が動かないと、基本、行動に移しません。このテクニックについて、解説します。
話の結論を盛り上げるために、付加要素を付け加える手法は、このビジュアライズと共通するものがあります。
相手の心を掴むという点では、やはり情報が多い方が有利です。
結論が先・後の使い分け方
冒頭で何でも結論から話せば良い訳ではないとお伝えしましたが、逆に、何でも結論を後に話せば良い訳でもありません。
場面によって選択する必要があります。
使い分けの例としては、下記の通り推奨します。
結論を先に話す
- 論理的思考を求められる会話
- ビジネスの場面
- プレゼンテーションやディベート
結論を後に話す
- 体験談
- 期待感を刺激する会話
- 感情に訴えかける会話
もちろん全てそうしろという訳ではなく、ビジネスの場面でも結論を後に話してみても良いでしょう。
スティーブ・ジョブズに学ぶ、結論の後出しによる話の進め方
iPhone発表時のスティーブ・ジョブズのプレゼンが分りやすい例でしょう。
YouTubeの動画もあるため、見た事がない方は1度ご覧になってみてください。
一部、ここで引用します。
2年半、この日を待ち続けていた。
数年に一度、すべてを変えてしまう新製品があらわれる。
それを一度でも成し遂げることができれば幸運だが……。アップルは幾度かの機会に恵まれた。
1984年、Macを発表。PC業界全体を変えてしまった。
2001年、初代iPod。音楽の聴き方だけでなく、音楽業界全体を変えた。
本日、革命的な新製品を3つ発表します。
1つめ、ワイド画面タッチ操作の「iPod」
2つめ、「革命的携帯電話」
3つめ、「画期的ネット通信機器」
3つです。
タッチ操作iPod、革命的携帯電話、画期的ネット通信機器。
iPod、電話、ネット通信機器。
iPod、電話……おわかりですね?独立した3つの機器ではなく、ひとつなのです。
名前は、iPhone。
引用:【YouTube】iPhone を発表するスティーブ・ジョブス(日本語字幕)
結論から先に話せば、「iPhoneという商品を作りました。これはiPod・電話・ネット通信が可能です」と、真っ先に発表されるはずです。
ですが、プレゼンの通り結論(iPhoneの名称発表)は聴衆の興味・期待感を大きく膨らませた後で述べています。
このようなステップを踏むことで、聴衆がエキサイトし、一気に興味関心を引きつける事ができます。
実際、紹介したYouTubeではとても盛り上がっていますよね。
爆発的なインパクトを与えることができるのは、このような話し方以外には成し得ません。
スティーブ・ジョブズの話の組み立て方は、どうすれば聴衆が沸くのかを完全に理解したものと言ってもいいでしょう。
【悲報】ジョブズの真似は諸刃の剣
スティーブ・ジョブズような話し方に憧れ、模倣したくなる気持ちはわかります。
ですがこのような話し方は、完全に上級者(話し方で人の心を動かすことに慣れている)のテクニックです。
そもそも話し方というのは「話す人の個性(性格や言葉遣い)」が色濃く出ます。
あなたの特色にジョブズのエッセンスを加えるくらいにしておいた方が良いでしょう。
あなたはあなただけの話し方が出来るので、ジョブズになれなくても問題なしですよ。
それよりも、変にキャラを作ってボロが出ないように注意です。
ジョブズのスピーチでわかる「結論の後出し」
まとめると、以下の通りです。
- 結論をお預けにすることで、会話の興味を引く。
- 早く続きが聞きたいという期待感を膨らませる事ができる。
- 焦らされた分、話に集中してしまう。
- 結論に至るまでの間に、結論に繋がる情報をチラ見せさせる。
このように、心を掴む要素がふんだんに盛り込まれていることがわかります。
ですが、1点、気になる事があるかと思います。
これに対する答えは下記の通りです。
結論を恐れる必要なし
よっぽど的外れなことを伝えていない限り、少しくらい結論のインパクトが弱くても問題なしです。
心を掴んでいるのは、結論までのプロセスです。そこが十分であれば、結論が必ずしも驚きや期待の頂点になる必要がありません。
大事なのは、過程で話を楽しんでもらい、あなたに興味を持ってもらうことです。
結論までのプロセスこそ、心を掴む話し方の必須要件
結論というのは一つですが、それを伝えるまでに至る話の肉付けは無限のルートがあり、それが個性となります。
この個性こそ、「話が面白い人」の要素を大きく占めていいます。
結論から述べ、簡潔かつ的確に話すことはとても素晴らしいことですが、「話が上手い」ということが人々の印象に残ることとはまた別です。
つまり、話のプロセスで人の感情をどれだけ揺さぶる事ができたか(心を掴む事ができたか)が、聞き手にとって「あなたが特別な存在であるか」を左右します。
心を掴むということは、そういうことです。
- 結論ばかりを先に述べ、話が膨らまない
- 正論ばかり突きつける
- 会話の道をそれた無駄話はしない
このような会話は間違いではありませんが、たまには、
- たまには結論を後に述べ、そこまでのプロセスを盛ってみる
- 正論は無視して相手の感情に寄り添う
- たまに脱線して違う話も楽しんでみる
このような話し方ができる人がに、人が集まるのではないでしょうか。
「いいとこ取り」で話し方は良くなる
- 結論を先に述べる
- 結論は後出しにする
一見、矛盾しているようですが、明確な答えはありません。
結局のところは話し相手や会話のシーンで使い分けることが重要です。
つまり、「いいとこ取り」をしようということです。
これまでこのブログではさまざまな話し方のテクニックを紹介・解説してきました。
結局はそれぞれのシーンで使い分けたり、組み合わせ展開することが何よりも重要です。
結論の先・後についてはどちらにも良い点があります。
今回は後出しについてのメリットについてフォーカスしました。
この特徴を踏まえ、どちらの話し方が今この場面に適切なのかをうまく切り替え、より良い会話を紡いで頂けるよう願っています。
その他の話し方に関する記事はコチラ
本記事以外にも、話し方に関する記事を当ブログでは取り扱っています。
よろしければ、下記記事をご参考ください。
話し方の極意とコツのまとめ【パブリックスピーキングスキル】
わかりやすく心を動かす話し方の極意は難しいことではありません。誰でも、コツを覚え、テクニックでスキルを伸ばすことができます。ここでは実践的かつ効果的なパブリックスピーキングのスキルアップテクニックについて、これまでこのブログで紹介した内容ををまとめて紹介します。