それなりに上手く話せている気がするけれど、相手の反応はなんか微妙…こんなに良いところをたくさん伝えているのに。良さをわかってくれないのかな。
人前で話をすること、多々ありますか?
企業勤めの方は、歳を重ねるにつれ、「人前で話をすることを求められる」ということが多くなってきた人もいるかと思います。
上司に、仲間に、部下に、そして客先に、はたまた家族に。
何らかの集団に属している限り、「話をする」ということからは逃れられません。
提案や売り込み、企画など、相手に何らかの価値を提供するために話すことも、それなりにあるかと思います。
価値を説明するためには「メリット」を伝える必要がありますね。
ですが「デメリット」となることを、意識付けて話している方はどれだけいらっしゃるでしょうか。
デメリットをあえてプレゼンするという行為は、少し勇気がいるかもしれません。
ですが、聞き手の同意や信頼を得るためには、非常に効果的です。
その理由について、ここでは解説します。
デメリットプレゼンで信頼性の担保を取る
まず結論から書きますが、デメリットのプレゼンをすることで、聞き手の疑問や反感を封じ込め、メリットが際立ちます。
メリットの裏に、デメリットあり
当たり前のこととして、
- メリットとは、「長所・利点」
- デメリットは、「短所・欠点」
上記の通り。
例えばプレゼンで、「これまで人力で行なっていた業務を自動化する新技術」を提案するとします。この場合、新技術のメリットとデメリットとしては、
- メリット=業務効率化、自動化
- デメリット=導入コスト、人員配置の見直し
上記のように想定することができます。このように、どんなことでも、大小問わずデメリットというものが存在します。
プレゼンではメリットだけを語りたくなりがちですが、導入する側からしたら、使う前に金額がいくらかかるのか、何年で元を取れるのかなど、気になりますよね。
気になったまま最後まで解消されなかったら、「こんなに良いのでぜひ買ってください」と提案されても却下される可能性が大です。
あえてデメリットをプレゼンする
聞き手が疑問を持ちもやもやする前に、話し手からあえてデメリットをプレゼンするとどうなるか、考えてみましょう。
- 疑問に思われるであろう場所を先に潰すことができる。
- デメリットを持っていも、それを上回るメリットがあれば、メリットの優位性が際立つ
- デメリットをあえて知らせることで、信頼性が高まる
上記の通り。
それぞれ、さらに深掘りします。
疑問点を先に潰す
何らかのデメリットがあったとして、
- 他者から先行して知らされる
- 他者から知らされないで、話を聞いているうちに「あれ…?」と自ら違和感を覚える
上記2つでは、先行して知らされた方が、気分良く話し手のプレゼンを聞けませんか?
もちろん、話し手が聞き手にとってのデメリットすべてを洗い出せる訳ではありません。ですが、思いつく限りは極力は先行して潰しておくと良いでしょう。
メリットの優位性が際立つ
世の中のほとんどのプレゼンは、デメリットがあってもなおメリットがあるから、成り立っているのだと思います。
なので、それをプレゼンの場で比較検討してしまえばOKです。
信頼性が高まる
良いことも悪いこともひっくるめて話すことで、プレゼンの透明性につながります。
そして、この話し手は正直で信頼に値する人であるという認識が無意識に生まれます。
逆に良いことばかり伝えていると、「何か裏があるんじゃないか…?」と疑いたくなるのが人間です。
疑いを晴らすのは、疑われること以上に時間がかかるでしょう。
【参考】デメリットのないプレゼン例
いきなり電話でインターネットや保険の勧誘が来た経験、1度くらいはありませんか?
メリットとなる甘い言葉(安くなる、おトクなど)で色々提案してきますが、デメリットとなる内容について一切触れて来ません。
個人的には、顔も見えないし怪しさMAXだと思っています。一方的に「印象の良さそうな言葉」を押し付けてくるだけ。信頼できないので、例えどんなに優れたサービスだとしても、その電話で契約することはありませんね。
おかげさまで、なんかの営業っぽい電話がきたら、問答無用で「興味ない」と概要すら聞かず終了します。
以上のように、「デメリットを隠し続ける姑息な手段」から転じて、「デメリットをあえて伝える勇気」のリターンは大きいです。
恐れず、デメリットを先行して伝えましょう。
ゴリ押しプレゼンのデメリット【相手の価値観を壊す】
プレゼンの内容は、人の数、企業の数だけあるでしょうが、言ってしまえば何らかの提案のために行うものです。
提案する理由としては、「既存の概念とは異なるものを取り入れていくかどうか」を考えてもらうためですが、メリットばかりをゴリ押しすると、場合によっては既存の概念をディスられていると捉えられる可能性があります。
特に会社勤めが長い50〜60代は、以下のように思うかもしれません。
- 会社の伝統を踏みにじっている
- 会社のやり方が間違っていると言いたいのか?
- 若造乙
こうなると、話し手も聞き手もお互い辛いだけです。
あえて炎上を狙っているなら別ですが…話をうまくまとめられる絶対の自信がないのであれば、オススメはしません。
こういう場合、メリットとデメリットを比較させることで、主観的な意見(話し手の私見)ではなく、客観的な事実・問題であることを認識してもらうことが有効です。
比較を用いた穏やかな提案例
- Aを導入することで、従来のBはAに置き換わります。
- Bに問題があるということではありません。ですが、Aの方が効率的で、担当者の負担がより少なくなります。
- そして、いまAを導入しておかないと、当社が目指すCという目標に到達することが難しくなる可能性が大きいです。
- 導入コストや慣れるまでの期間という問題も確かにありますが、当社が導入せずに競合他社のA社が先に導入してしまえば、市場での競争に負けてしまう可能性があります。
上記の通り。
従来のBというものに配慮しつつ比較して、客観的な見解でAを押していることがわかります。
もしBというものをとても大事にする会社だとしても、感情的にならず、冷静にAとBを比較検討できるでしょう。
比較しない提案例
- Aを導入することでより効率的かつ負担の少ない仕事が可能となります。
- Aは最新の技術で、従来の働き方を塗り替えます。Aで無駄のない効率的な仕事が可能です。働き方改革にもなりますよ。
- Aは競合他社も導入するかもしれませんので、導入するならば今すぐがオススメです。他の企業さんはAを即断即決して頂けましたよ。
上記の通り。
Bと比較している訳ではありませんが、まるで「A以外のものは無駄である」というようなニュアンスに伝わってしまう可能性があります。
Bというものをとても大事にする会社にとっては、「A以外のものは無駄である」と、Bを否定しているようにとられてもおかしくはありません。
このように、良からぬ誤解を生まないためにもメリットとデメリットの両方を開示しておくというのは、有効であると考えます。
このように、プレゼンで新しい価値を提供する場合は、従来の作法や概念に最大の敬意を払う必要があります。
それでもなお新しい価値が有益となりえることを、プレゼンしましょう。
堂々とプレゼンしよう
これまでから、デメリットを先に伝えることは、メリットとなることが改めてわかりました。
時にはデメリットを巻き返すことが困難な相手もいるかもしれませんが、最後は熱意でどうにかなる場面もあります。
今回の内容を参考に、堂々と話を進めて下さい。
そして、聞き手が何を求めて話を聞くのかを考えつつ、新しい価値とこれまでの価値両者に最大の配慮を行い、プレゼンに臨みましょう。
間違っても怪しい人認定されないよう、デメリットを小出しにしてくださいね。
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